高齢の親の睡眠|「長く寝床にいる」は逆効果?よく眠るための5つのポイント

「親が夜中に何度も起きている」「昼間にうとうとしていることが多い」「早くから布団に入っているのに、よく眠れないと言う」。高齢の親の睡眠について、気になる家族は多いのではないでしょうか。

睡眠は、日中の元気さだけでなく、夜中のふらつきや転倒にも関わります。厚生労働省の「健康づくりのための睡眠ガイド2023」では、高齢の方に向けたポイントがまとめられています。訪問リハビリで生活リズムについてお伝えすることもある理学療法士の立場から、家族ができることをまとめます。

この記事で分かること

  • 高齢の方の睡眠の特徴
  • よく眠るための5つのポイント
  • 夜中に起きたときの転倒を防ぐ工夫
  • 相談したほうがいい睡眠の悩み

よくある場面

訪問先では、「眠れないから」と夕方から布団に入り、長い時間横になっている方がいます。寝床にいる時間が長いのに、夜中に何度も目が覚めて、朝になっても「よく眠れなかった」と感じています。

また、昼間に長く眠ってしまい、夜に眠れない方もいます。昼と夜のメリハリがなくなると、夜中に起きてトイレに行く回数が増え、暗い中でふらついて転ぶこともあります。

正直に言うと、私が生活リズムについてお伝えしても、結局は昼夜が逆転してしまう方もいます。生活リズムを整えるのは、それだけ難しいことです。だからこそ、できることを一つずつ、家族と一緒に続けていくことが大切です。

高齢の方の睡眠の特徴

年齢を重ねると、眠りが浅くなり、夜中に目が覚めやすくなります。睡眠ガイド2023では、高齢の方は寝床で過ごす時間を必要以上に長くすると、かえって眠りが浅くなり、夜中に目覚めやすくなることが指摘されています。

つまり、「長く寝床にいること」と「よく眠れること」は同じではありません。高齢の方では、寝床にいる時間を見直すことが大切です。

よく眠るための5つのポイント

睡眠ガイド2023の内容をもとに、家で取り入れやすいポイントをまとめました。

よく眠るための5つのポイント:1 寝床にいる時間を長くしすぎない、2 日中に体を動かし日の光を浴びる、3 昼寝は短く、4 寝る前のカフェインとお酒を控える、5 寝室を静かに暗く快適な温度に

1. 寝床にいる時間を長くしすぎない

眠くなってから布団に入り、朝は決まった時間に起きるようにします。「眠れないから早く横になる」は、かえって逆効果のことがあります。

2. 日中に体を動かし、日の光を浴びる

睡眠ガイド2023では、日中の適度な運動が、昼間の目覚めを保ち、睡眠と目覚めのリズムにメリハリをつけるのに役立つとされています。午前中の散歩や、窓際での日光浴もおすすめです。

3. 昼寝は短く

睡眠ガイド2023では、日中に長い時間眠る習慣は、夜の睡眠を浅く不安定にしがちとされています。昼寝をするなら、早めの時間に短くするのがおすすめです。

4. 寝る前のカフェインとお酒を控える

睡眠ガイド2023では、寝る前3〜4時間以内のカフェインは寝つきを悪くしたり、眠りを浅くしたりする可能性があるとされています。また、お酒は寝つきをよくしても、夜中に目が覚めやすくなり、熟睡感が得られにくくなるとされています。

5. 寝室を静かに、暗く、快適な温度に

睡眠ガイド2023では、寝室は静かで暗く、季節に合った温度と湿度に保つことが大切とされています。冬は寝室とトイレの温度差にも気をつけてください。

夜中に起きたときの転倒を防ぐ

  • 起きたらすぐ立たない:ベッドに腰かけて、ひと呼吸おいてから立つ
  • 足元を明るく:足元灯や、センサーライトをつける
  • トイレまでの道に物を置かない
  • 寝る前の水分は控えめに、日中はしっかり
  • 眠り薬を飲んでいる方は特に注意:ふらつきやすいことがある

夜中のトイレで転ばないための工夫は、こちらでくわしく書いています。

夜のトイレが心配で水分を控えすぎると、脱水につながることもあります。

相談したほうがいい睡眠の悩み

  • 眠れない日が続き、日中の生活に支障がある
  • 大きないびき、睡眠中に息が止まっていると言われる
  • 夜中に足がむずむずする、ぴくつく
  • 夜中に大声を出したり、暴れたりする
  • 昼間に強い眠気があり、すぐに寝てしまう

こうした場合は、かかりつけ医に相談してください。眠り薬は、自己判断で量を増やしたり、お酒と一緒に飲んだりしないようにしましょう。

よくある質問

高齢の方の睡眠について、よく調べられている質問をまとめました。

高齢の親は何時間くらい眠ればいいですか。

必要な睡眠時間には個人差があります。睡眠ガイド2023では、高齢の方は時間の長さよりも、寝床にいる時間を必要以上に長くしないことが大切とされています。日中に元気に過ごせているかを目安にしてください。

昼寝はしないほうがいいですか。

昼寝自体が悪いわけではありません。ただ、長い昼寝や夕方の昼寝は、夜の睡眠に影響しやすくなります。早めの時間に短くするのがおすすめです。

夜中に何度もトイレに起きます。

寝る前の水分やカフェインの量を見直してみてください。それでも回数が多い場合や、急に増えた場合は、かかりつけ医に相談してください。

眠り薬を飲んでいると、転びやすくなりますか。

薬の種類によっては、ふらつきや眠気が残ることがあります。夜中に起きるときは特にゆっくり動き、気になる場合は医師や薬剤師に相談してください。

寝る前にスマホやテレビを見るのはよくないですか。

寝る直前まで明るい画面を見ていると、寝つきに影響することがあります。寝る前は部屋の明かりを少し落として、ゆったり過ごすのがおすすめです。

まとめ

最後に、この記事のポイントです。

  • 高齢の方は寝床にいる時間を長くしすぎないことが大切
  • 日中に体を動かし、日の光を浴びる
  • 昼寝は短く、寝る前のカフェインとお酒は控える
  • 寝室は静かに、暗く、快適な温度に
  • 夜中は腰かけてひと呼吸、足元を明るくして転倒を防ぐ

よく眠れることは、日中の元気と、夜の安全の両方につながります。まずは、親が何時に布団に入り、何時に起きているかを聞いてみてください。

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参考にした資料

この記事は、次の資料を確認して書いています(2026年10月確認)。睡眠の悩みが続く場合や、持病・服薬がある場合は、医師に相談してください。

  • 厚生労働省「健康づくりのための睡眠ガイド2023」(リンク)
理学療法士 山下康希

この記事を書いた人

山下 康希|理学療法士
回復期リハビリテーション病院を経て、いまは訪問リハビリでご自宅に伺っています(ひと月およそ120件)。現場で見てきたことと公的な資料をもとに、転倒予防・痛み・住まいの工夫・介護保険など、ご家族が今日から試せることを書いています。

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