訪問リハビリの理学療法士の給料|データで見る相場と、求人で確認したい4つのこと

「訪問リハビリは給料が高いって本当?」「病院から訪問に移ると、どれくらい変わるんだろう」。訪問の仕事に興味がある理学療法士から、よく聞かれる質問です。

訪問の給料は、職場ごとのしくみの違いがとても大きく、求人票の金額だけでは比べにくいのが実際のところです。訪問リハビリで働いている理学療法士の立場から、公的なデータと、求人を見るときに確認したいポイントをまとめます。

この記事で分かること

  • データで見る、訪問の理学療法士の給与
  • 訪問の給料のしくみ(固定給と件数手当)
  • 求人を比べるときに見たい4つのこと
  • 訪問の仕事の向き・不向き

データで見る、訪問の理学療法士の給与

介護事業所の経営を調べた厚生労働省の「令和7年度介護事業経営概況調査」では、常勤の理学療法士1人あたりの給与費(決算額を12で割った月額)が、サービスごとに次のように示されています。

  • 訪問看護:44万9,606円
  • 訪問リハビリテーション:42万5,039円
  • 通所リハビリテーション:41万6,119円

この数字は、事業所が支払った給与費をもとにしたもので、手取りや求人票の月給とは別の物差しです。それでも、訪問の仕事は通所よりやや高めに出ていることが分かります。

比べる目安として、厚生労働省の職業情報提供サイト(job tag)では、理学療法士全体の年収は約443.6万円(令和7年賃金構造基本統計調査)とされています。

また同じ調査では、訪問リハビリテーションの理学療法士・作業療法士・言語聴覚士1人あたりの訪問回数は月167.8回でした。1か月に20日働くとすると、1日8回ほどの計算になります(訪問リハビリは1回20分を単位に数えます)。

訪問の給料のしくみ

訪問の理学療法士の給料は、大きく分けて次の3つの形があります。現場や求人で見かけることが多いものです。

  • 固定給のみ:毎月の給料が決まっている。件数の増減で給料は変わらない
  • 固定給+件数手当(インセンティブ):決められた件数をこえた分に、1件ごとの手当がつく
  • 歩合が大きいしくみ:訪問した件数で給料の多くが決まる。件数が多いほど高いが、キャンセルや休みで下がりやすい

件数手当がある職場では、「何件から手当がつくか」「1件いくらか」で、同じ月給の求人でも年収が大きく変わります。利用者さんの入院や体調不良のキャンセルが続くと、件数が下がることもあります。

求人を比べるときに見たい4つのこと

訪問の求人を見るときに、現場の理学療法士として確認してほしいことを4つにまとめました。

訪問の求人で確認したい4つのこと:1 基本給と件数手当の内訳、2 1日の訪問件数の目安、3 移動とキャンセルの扱い、4 オンコールと休み

1. 基本給と件数手当の内訳

月給の総額だけでなく、基本給がいくらで、手当がいくらかを確認します。賞与や退職金は基本給をもとに計算されることが多いので、手当の割合が大きいと、年収の見込みと違うことがあります。

2. 1日の訪問件数の目安

「1日何件くらいか」「件数の目標があるか」を聞いておきます。件数が多いほど給料は上がりやすい一方で、移動の時間や記録の時間も増えます。

3. 移動とキャンセルの扱い

移動手段(車・自転車・バイク)、移動時間が勤務時間に入るか、ガソリン代や車の手当、そしてキャンセルが出たときに給料がどうなるかを確認します。

4. オンコールと休み

訪問看護ステーションでは、夜間や休日の連絡当番(オンコール)を理学療法士が担当するかどうか、職場によって違います。年間休日、有給のとりやすさ、急な休みの代わりなども合わせて確認してください。

訪問の仕事の向き・不向き

  • 向いている人:生活の場でのリハビリにやりがいを感じる人、利用者さんや家族とじっくり関わりたい人、自分で予定を組み立てるのが得意な人
  • 大変なところ:一人で判断する場面が多い、移動が多い、天気に左右される、急変に気づく力が求められる
  • 経験の目安:病院などで基本的な評価や治療、リスク管理を経験してから訪問に移る人が多い

訪問リハビリの仕事の内容については、家族向けにもまとめています。利用者さんや家族からどう見えているかを知るのにも役立ちます。

よくある質問

訪問の理学療法士の給料について、よく調べられている質問をまとめました。

訪問リハビリと訪問看護ステーション、どちらが給料は高いですか。

介護事業経営概況調査では、常勤の理学療法士1人あたりの給与費は訪問看護のほうがやや高く出ています。ただし事業所ごとの差が大きいため、求人ごとに内訳を比べることが大切です。

新卒から訪問で働けますか。

新卒を受け入れている事業所もありますが、一人で訪問する場面が多いため、教育体制や同行訪問の期間をしっかり確認してください。多くの人は、病院などで経験を積んでから訪問に移っています。

件数手当があると、どれくらい年収が上がりますか。

「何件から手当がつくか」と「1件あたりの金額」によって大きく変わります。面接のときに、同じくらいの経験年数の人の実際の月の件数と給料の例を聞いてみると、イメージしやすくなります。

車の運転ができなくても働けますか。

都市部では自転車やバイクで訪問する事業所もあります。移動手段は事業所によって違うので、求人や面接で確認してください。

訪問の仕事は体力的にきついですか。

移動や、利用者さんの家の環境に合わせた介助で体を使う場面はあります。一方で、自分のペースで予定を組めることを働きやすさと感じる人も多いです。見学や同行で、実際の一日を見てから決めるのがおすすめです。

まとめ

最後に、この記事のポイントです。

  • 常勤の理学療法士1人あたりの給与費は訪問看護 約45.0万円、訪問リハ 約42.5万円、通所リハ 約41.6万円(月額、令和7年度概況調査)
  • 訪問リハのPT・OT・ST1人あたりの訪問回数は月167.8回
  • 給料のしくみは固定給・件数手当・歩合で大きく違う
  • 求人は基本給と手当、件数、移動とキャンセル、オンコールと休みを確認
  • 見学や同行で、実際の一日を見てから決める

訪問の仕事は、給料のしくみを知っておくと、自分に合う職場を選びやすくなります。まずは気になる求人の「件数手当の条件」を確認してみてください。

あわせて読みたい記事です。


参考にした資料

この記事は、次の資料を確認して書いています(2026年10月確認)。給料は地域や事業所によって大きく異なります。最新の統計は各資料で確認してください。

  • 厚生労働省「令和7年度介護事業経営概況調査結果」(リンク)
  • 厚生労働省「令和6年度介護従事者処遇状況等調査結果」(リンク)
  • 厚生労働省 職業情報提供サイト(job tag)「理学療法士」(リンク)
理学療法士 山下康希

この記事を書いた人

山下 康希|理学療法士
回復期リハビリテーション病院を経て、いまは訪問リハビリでご自宅に伺っています(ひと月およそ120件)。現場で見てきたことと公的な資料をもとに、転倒予防・痛み・住まいの工夫・介護保険など、ご家族が今日から試せることを書いています。

→ プロフィールを見る

Instagram・Threads・X・Facebookでも、親の転倒予防のヒントを発信しています。