ポータブルトイレの選び方|夜のトイレの転倒を防ぐ4つのポイントと介護保険

「夜中のトイレまでの廊下で転ばないか心配」「トイレまで間に合わないことが増えてきた」。そんなときに考えたいのがポータブルトイレです。

ポータブルトイレは、ベッドのそばに置いて使える移動できるトイレです。合うものを選んで、置き場所を工夫すれば、夜のトイレの転倒を減らし、本人が自分でトイレを続ける助けになります。訪問リハビリでトイレの動作を一緒に練習してきた理学療法士の立場から、選び方をまとめます。

この記事で分かること

  • ポータブルトイレを考えたいタイミング
  • ポータブルトイレの種類
  • 選ぶときの4つのチェックポイント
  • 介護保険で買えるときの条件と流れ

よくある場面

訪問先では、夜中に急いでトイレに向かう途中で、ふらついて転ぶケースが時々あります。特に、寝起きは体がまだ目覚めておらず、足元もふらつきやすくなっています。

ただ、正直に言うと、ポータブルトイレは在宅ではあまり使われていません。使ったとしても、短い期間で足の力が落ちて、使えなくなってしまう方もいます。ポータブルトイレは、本当に必要な時期を見きわめて使うことが大切です。

ポータブルトイレを考えたいタイミング

  • 夜中のトイレで、ふらつきや転倒がある
  • トイレまで間に合わないことが増えた
  • トイレまでの距離が遠い、段差がある
  • 退院直後などで、しばらく長い距離を歩けない

夜のトイレで転ばないための工夫は、こちらでも書いています。

ポータブルトイレの種類

健康長寿ネットでは、ポータブルトイレは介護保険の「腰掛便座」のひとつとされ、主に次のような種類があります。

  • コモード型:ひじ掛けや背もたれがあり、座った姿勢が安定しやすい
  • スツール型:軽くて持ち運びやすいが、支えが少ない
  • 家具調型:いすのような見た目で、部屋に置いても目立ちにくい

選ぶときの4つのチェックポイント

現場で、ポータブルトイレを選ぶときに実際に見ているポイントです。

ポータブルトイレを選ぶ4つのチェック:1 座面の高さ(足の裏が床につき、ひざがほぼ直角)、2 ひじ掛け(立ち座りを支える)、3 足を引ける空間(前かがみで立ち上がる)、4 安定性と手入れのしやすさ

1. 座面の高さ

座ったとき、足の裏がしっかり床につき、ひざがほぼ直角になる高さが目安です。低すぎると立ち上がりにくく、高すぎると座ったときに安定しません。高さを調整できるものが便利です。

2. ひじ掛け・手すり

立ち上がりや座るときに体を支えられるよう、ひじ掛けがあるものがおすすめです。ベッドから乗り移る方は、ひじ掛けがはね上がるものだと横から移りやすくなります。

3. 足を引ける空間

健康長寿ネットでも、ポータブルトイレは立ち上がるときに足を手前に引く空間が十分にあるかの確認が必要とされています。足を引けないと、前かがみになれず、立ち上がりにくくなります。

4. 安定性と手入れのしやすさ

座ったり立ったりするときにぐらつかない重さや脚の形かどうかを確認します。バケツの取り外しや掃除がしやすいかも、家族の負担に関わります。

置き場所のコツ

  • ベッドの横、足元寄りに置く:起き上がって座った位置から近く
  • ベッドとの高さをそろえる:乗り移りが楽になる
  • すべり止めを敷く:床の上でずれないように
  • 夜は足元を明るく:足元灯をつける
  • 見た目が気になる場合:家具調型や、カバーをかける

ベッドの高さや、ベッドからの立ち上がりの工夫は、こちらで書いています。

介護保険で買えるときの条件と流れ

ポータブルトイレは、ほかの人が使ったものを使うことに抵抗がある用具として、介護保険ではレンタルではなく購入(特定福祉用具販売)の対象になっています。健康長寿ネットによると、次のような決まりがあります。

  • 要介護認定を受けている方が対象
  • 4月から翌年3月までの1年間で10万円までが対象
  • 費用の9割(所得により8割・7割)が払い戻される
  • 同じ年度に同じ種類の物は、原則1回
  • 都道府県の指定を受けた事業者から買う必要がある(通信販売・ネット販売は対象外)

流れは、ケアマネジャーに相談して、指定の事業者から購入し、いったん全額を払ってから、市区町村に申請して払い戻しを受けるのが基本です(市区町村によっては、最初から自己負担分だけを払う方法もあります)。

よくある質問

ポータブルトイレについて、よく調べられている質問をまとめました。

ポータブルトイレを使うと、トイレまで歩かなくなりませんか。

日中はトイレまで歩き、夜だけポータブルトイレを使う、といった使い分けがおすすめです。歩く機会を減らしすぎないよう、ケアマネジャーや理学療法士と相談して決めてください。

においが気になります。

使ったあとはできるだけ早く中身を捨て、バケツを洗います。消臭剤や、ふたがしっかり閉まるものを選ぶと、においが気になりにくくなります。

ネットで買ったものは介護保険の対象になりますか。

健康長寿ネットによると、通信販売やインターネット販売で買ったものは対象外です。介護保険を使う場合は、都道府県の指定を受けた事業者から購入してください。

レンタルはできませんか。

介護保険では、ポータブルトイレはレンタルではなく購入の対象です。まずは試してみたい場合は、事業者に相談してみてください。

どのくらいの値段ですか。

種類や機能によって幅があります。介護保険を使う場合は、1年間で10万円までが対象です。どれが合うかは、福祉用具専門相談員に相談しながら選んでください。

まとめ

最後に、この記事のポイントです。

  • 夜のトイレでのふらつき・転倒・間に合わないが増えたら考えどき
  • 選ぶときは座面の高さ・ひじ掛け・足を引ける空間・安定性
  • 置き場所はベッドの横、足元寄りに
  • 介護保険では購入の対象。年10万円まで、指定の事業者から
  • 日中はトイレまで歩くなど、使い分けも大切

ポータブルトイレは、「自分でトイレに行く」を続けるための道具です。まずは、親の夜中のトイレの様子を聞いてみるところから始めてみてください。


参考にした資料

この記事は、次の資料を確認して書いています(2026年10月確認)。介護保険の細かな取り扱いは市区町村によって異なる場合があるため、ケアマネジャーや市区町村の窓口に確認してください。

  • 健康長寿ネット(長寿科学振興財団)「介護保険の福祉用具:腰掛便座」(リンク)
  • 健康長寿ネット(長寿科学振興財団)「特定福祉用具販売・購入について」(リンク)
理学療法士 山下康希

この記事を書いた人

山下 康希|理学療法士
回復期リハビリテーション病院を経て、いまは訪問リハビリでご自宅に伺っています(ひと月およそ120件)。現場で見てきたことと公的な資料をもとに、転倒予防・痛み・住まいの工夫・介護保険など、ご家族が今日から試せることを書いています。

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