床ずれ(褥瘡)の予防|家族ができる4つのこと。できやすい場所と相談の目安

「退院してきた親のお尻が赤くなっている」「寝ている時間が長くなってきて、床ずれが心配」。家で介護をしていると、床ずれ(褥瘡:じょくそう)が気になる場面があります。

床ずれは、一度できると治るまでに時間がかかります。けれど、原因を知って毎日少し気をつけるだけで、防ぎやすくなります。訪問リハビリで寝ている時間の長い方を担当してきた理学療法士の立場から、家族ができる予防をまとめます。

この記事で分かること

  • 床ずれができる3つの原因
  • 床ずれができやすい場所
  • 家族ができる、4つの予防のポイント
  • 床ずれを防ぐ道具と、相談の目安

よくある場面

訪問先では、退院後や、風邪などで寝込んだあとに、お尻(尾てい骨のあたり)やかかとが赤くなっているのに、家族が気づいていないケースが、時々あります。もちろん、しっかり見ているご家族も多くいます。本人は痛みを訴えないことも多く、おむつ交換や着替えのときに初めて気づくこともあります。

もうひとつは、ベッドの背を起こしたまま長い時間過ごして、体が少しずつ下にずり落ちているケースです。見た目は座っていて楽そうでも、お尻の皮膚には強い力がかかっています。

床ずれができる3つの原因

日本褥瘡学会の一般向けのパンフレットでは、床ずれには「圧迫」「ずれ」「栄養不足」の3つが大きく関係しているとされています。

  • 圧迫:同じ姿勢で長く寝ていると、骨の出ているところとベッドの間で同じ場所が押され続け、血の流れが止まってしまう
  • ずれ:ベッドの背上げや体を動かすときに、皮膚や皮膚の下が横に引っぱられて傷む
  • 栄養不足:傷んだところを治すための材料(たんぱく質など)が足りないと、治りにくくなる

床ずれができやすい場所

同じパンフレットでは、骨が出ていて、体の下になる場所にできやすいとされ、次の場所が挙げられています。

  • お尻の真ん中(仙骨・尾骨のあたり)
  • 座ったときに当たる骨盤の出っぱり(坐骨)
  • かかと
  • 背骨(背中が丸い方)

健康長寿ネットでは、横向きに寝ているときの肩や腰の横、あお向けのときの後頭部も、圧がかかりやすい場所として挙げられています。

家族ができる、4つの予防のポイント

床ずれを防ぐ4つのポイント:1 同じ姿勢を続けない(2時間を目安に向きを変える)、2 ずれを防ぐ、3 毎日皮膚を見る、4 食事でたんぱく質をとる

1. 同じ姿勢を続けない

自分で寝返りができない方は、家族が体の向きを変えます。健康長寿ネットでは、2時間以上同じ姿勢のままでいることがないようにするのが基本とされています。背中にクッションを入れて少し横向きにするなど、骨の出ているところに体重が集中しないようにしてください。

昼間はできるだけベッドから離れて座る時間を作ることも、同じ場所が押され続けるのを防ぐことにつながります。

2. 「ずれ」を防ぐ

ベッドで体を引き上げるときに、シーツの上を引きずると、皮膚が強くこすれます。日本褥瘡学会のパンフレットでは、スライディングシートなどの福祉用具を使うことがすすめられています。

ベッドの背を上げたあとは、背中とマットレスの間に手を入れて背中を一度浮かせると、引っぱられていた皮膚のつっぱりが抜けます。背上げの前にひざを少し上げておくと、ずり下がりにくくなります。

3. 毎日、皮膚を見る

おむつ交換や着替えのときに、お尻やかかとが赤くなっていないかを見てください。赤いところを指で軽く押して、白くならない、時間がたっても赤みが消えないときは、床ずれの始まりのことがあります。赤くなっているところを強くこすったり、もんだりするのは避けてください。

4. 食事でたんぱく質をとる

日本褥瘡学会のパンフレットでは、肉や魚、大豆製品、たまご、乳製品など、たんぱく質をとれているかに注意することがすすめられています。食べる量が減ってきたときは、かかりつけ医などに相談してください。

床ずれを防ぐ道具

健康長寿ネットでは、床ずれを防ぐ道具として、空気で圧を切り替えるエアマットレスやウレタンのマットレス、体の向きを保つクッション、スライディングシートなどが紹介されています。

床ずれを防ぐマットレスや体位変換器は、介護保険でレンタルできる場合があります(要介護度などの条件があります)。どれが合うかは、ケアマネジャーや福祉用具の事業所、訪問看護師に相談してください。

寝たきりにならないことが、いちばんの予防

床ずれを防ぐいちばんの方法は、寝ている時間を減らすことです。日本褥瘡学会のパンフレットでも、散歩やいすからの立ち上がり運動、体操などの習慣を続けることが大切とされています。

寝込んだあとの体の変化や、家でできる体操については、こちらで書いています。起き上がりや座る練習を家でしたい場合は、訪問リハビリも使えます。

こんなときは、早めに相談を

日本褥瘡学会のパンフレットでは、次のようなときは、すぐに訪問看護師やかかりつけ医に診てもらうことがすすめられています。

  • お尻やかかとの皮膚が赤くなった、硬くなった
  • 赤みが、時間がたっても消えない
  • 皮膚がむけている
  • かさぶたがあって、高い熱が出ている
  • 食べる量が減った、寝てばかりいる、ぼうっとしている
  • ここ数日で急に動かなくなった
  • 水分が減って、おしっこの量も減っている

よくある質問

床ずれの予防について、よく調べられている質問をまとめました。

体の向きは、夜中も2時間ごとに変えないといけませんか。

2時間は目安です。床ずれを防ぐマットレスを使っている場合など、体の状態や道具によって間隔は変わります。家族だけで続けるのが難しい場合は、訪問看護師やケアマネジャーに相談してください。

赤くなったところをマッサージしてもいいですか。

赤くなっているところを強くこすったり、もんだりすると、かえって皮膚の下を傷めることがあります。マッサージは避けて、圧がかからないようにしてください。

車いすやいすに座っているときも、床ずれはできますか。

できます。座っているときは、お尻の骨(坐骨)のあたりに体重がかかります。座る時間が長い方は、座る用のクッションを使う、ときどきお尻を浮かせるなどの工夫をしてください。

おむつを使っていると、床ずれができやすいですか。

湿った皮膚は傷みやすくなります。日本褥瘡学会のパンフレットでは、おむつを交換するときはおむつをゆるめてから行い、排尿後はなるべく早く交換することがすすめられています。

床ずれができてしまったら、家で手当てしてもいいですか。

自己流の手当てで悪くなることもあります。皮膚がむけている、赤みが消えないなどのときは、訪問看護師やかかりつけ医に相談してください。

まとめ

最後に、この記事のポイントです。

  • 床ずれの原因は圧迫・ずれ・栄養不足
  • できやすいのは、お尻・坐骨・かかと・背骨など骨の出ているところ
  • 予防は、2時間を目安に向きを変える、ずれを防ぐ、毎日皮膚を見る、たんぱく質をとる
  • 赤みが消えない、皮膚がむけたときは早めに相談
  • いちばんの予防は、寝ている時間を減らすこと

床ずれは、家族が毎日少し気をつけることで防ぎやすくなります。まずは今日のおむつ交換や着替えのときに、お尻とかかとを見てみてください。


参考にした資料

この記事は、次の資料を確認して書いています(2026年9月確認)。床ずれができてしまった場合や、持病がある場合は、医師や訪問看護師に相談してください。

  • 日本褥瘡学会 在宅医療委員会「床ずれ(褥瘡)予防パンフレット」(リンク)
  • 健康長寿ネット(長寿科学振興財団)「介助者による体位変換」(リンク)
  • 健康長寿ネット(長寿科学振興財団)「介護保険の福祉用具:床ずれ防止用具とは」(リンク)
理学療法士 山下康希

この記事を書いた人

山下 康希|理学療法士
回復期リハビリテーション病院を経て、いまは訪問リハビリでご自宅に伺っています(ひと月およそ120件)。現場で見てきたことと公的な資料をもとに、転倒予防・痛み・住まいの工夫・介護保険など、ご家族が今日から試せることを書いています。

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