高齢者の脱水|秋冬も要注意。家族が気づきたい5つのサインと水分のとり方

「最近、親があまり水を飲んでいない気がする」「なんとなく元気がなく、ぼんやりしている」。高齢の方の脱水は、夏だけでなく、秋や冬にも起こります。

高齢の方は、のどの渇きを感じにくく、気づいたときには体の水分が足りなくなっていることがあります。訪問リハビリで高齢の方の体調の変化を見てきた理学療法士の立場から、脱水のサインと、家族ができる予防をまとめます。

この記事で分かること

  • 高齢の方が脱水になりやすい理由
  • 家族が気づきたい脱水のサイン
  • 水分のとり方と、続けやすい工夫
  • すぐに受診したほうがいいとき

よくある場面

訪問先では、「夜中にトイレに行きたくないから」と夕方から水分を控えているケースです。本人なりの工夫ですが、そのまま朝を迎えて、起きたときに立ちくらみやふらつきが出ることがあります。

また、暑い夏を過ぎて「もう熱中症の心配はない」と、飲む量が減っているケースです。暖房を使う季節は、部屋が乾燥して、知らないうちに体の水分が失われます。

高齢の方が脱水になりやすい理由

健康長寿ネットでは、高齢の方が脱水になりやすい理由として、次のようなことが挙げられています。

  • のどの渇きを感じにくい:渇きを感じる働きがにぶくなり、飲む量が減る
  • トイレを気にして控える:尿もれや夜間のトイレを心配して、水分をとらない
  • 体の中で作られる水分が減る:年齢とともに代謝が落ち、体の中で生まれる水分も少なくなる

そのため、高齢の方はちょっとした環境の変化でも脱水になりやすいとされています。

見逃したくない脱水のサイン

健康長寿ネットで挙げられている症状と、訪問の現場で気をつけて見ているポイントをまとめました。

見逃したくない脱水のサイン:1 口や舌が乾いている、2 皮膚に張りがない、3 おしっこが少ない・色が濃い、4 立ちくらみ・だるさ、5 ぼんやりしている

1. 口や舌が乾いている

口の中や舌が乾いている、唇がかさかさしている、話しにくそうにしている、といった様子です。

2. 皮膚に張りがない

健康長寿ネットでは、皮膚の乾燥や、皮膚の弾力の低下が挙げられています。手の甲の皮膚を軽くつまんで離したとき、元に戻るのが遅い場合は注意が必要です。

3. おしっこが少ない・色が濃い

トイレの回数が減った、おしっこの色がいつもより濃い、というのも、水分が足りていないサインのことがあります。

4. 立ちくらみ・だるさ

健康長寿ネットでは、疲れやすさ、力が入らない、食欲や意欲の低下、立ちくらみが挙げられています。脱水で血圧が下がると、立ち上がったときにふらつきやすくなり、転倒の原因にもなります。

5. ぼんやりしている

元気がない、反応がにぶい、話のつじつまが合わない、といった意識の変化が出ることもあります。「年のせい」「眠いだけ」と思わず、水分がとれているかを確認してください。

家族ができる、脱水の予防

健康長寿ネットでは、のどが渇いていなくても、決まった時間に飲むことを生活の習慣にすることがすすめられています。現場で家族にお伝えしている工夫をまとめます。

  • 飲む時間を決める:起きたとき、食事のとき、10時と3時のお茶、入浴の前後、寝る前
  • 手の届くところに置く:いつも座る場所の横に、コップや水筒を置いておく
  • 一度にたくさんではなく、少しずつ:コップ半分を、回数多く
  • 食事からもとる:汁物、果物、ゼリー、豆腐など水分の多いものを
  • 好きな飲み物で:お茶が苦手なら、白湯や麦茶、牛乳など飲みやすいものを

健康長寿ネットでは、心臓や腎臓の病気がある方は、一度にたくさん飲まず、ゆっくりとることが望ましいとされています。医師から水分の量を制限されている方は、その指示を守ってください。

夜のトイレが心配なとき

夜中のトイレを減らしたいからと、一日の水分を減らすのはおすすめできません。水分は朝から昼にしっかりとり、寝る前は少なめにするなど、時間の配分を工夫してください。夜のトイレで転ばないための工夫は、こちらで書いています。

飲むとむせる場合

水やお茶でむせることが多い方は、飲む量が減りがちです。とろみをつける、姿勢を整えるなどの工夫があります。

こんなときは、すぐに受診を

  • 呼びかけへの反応がにぶい、意識がおかしい
  • 水分や食事がほとんどとれない
  • 吐き気や下痢が続いている
  • 立てないほどふらつく、ぐったりしている

健康長寿ネットでは、脱水は時間がたつほど、程度が進むほど重症になりやすいとされています。いくつかのサインが重なるときや、いつもと様子が違うときは、早めにかかりつけ医に相談してください。

よくある質問

高齢の方の脱水について、よく調べられている質問をまとめました。

1日にどれくらい飲めばいいですか。

必要な量は、体の大きさや持病、季節によって違います。健康長寿ネットでは、飲み物だけでなく、水分の多い食事を心がけることも大切とされています。持病がある方は、かかりつけ医に目安を聞いてください。

冬でも脱水になりますか。

なります。冬は汗をかいている感覚が少なく、飲む量が減りがちです。暖房で部屋が乾燥していることや、入浴で汗をかくことも影響します。

お茶やコーヒーでも水分補給になりますか。

なります。ただ、コーヒーや濃いお茶は、トイレが近くなることもあるので、白湯や麦茶なども組み合わせるのがおすすめです。

経口補水液は飲ませたほうがいいですか。

下痢や嘔吐、たくさん汗をかいたときなど、体の塩分も失われているときに役立ちます。持病がある方や、使ってよいか迷う場合は、医師や薬剤師に相談してください。

本人が「のどが渇いていない」と言って飲みません。

高齢の方は、のどの渇きを感じにくくなっています。「飲んで」と言うより、食事やお茶の時間に一緒に飲む、手の届くところに置いておく、など自然に飲める環境を作るほうが続きやすいです。

まとめ

最後に、この記事のポイントです。

  • 高齢の方はのどの渇きを感じにくく、秋や冬にも脱水になる
  • サインは口の乾き・皮膚の張り・尿の量と色・立ちくらみ・ぼんやり
  • のどが渇く前に、時間を決めて少しずつ飲む
  • 夜のトイレが心配なら、水分は朝から昼に多めに
  • 意識がおかしい、水分がとれないときはすぐ受診

脱水は、家族が気づいて声をかけることで防ぎやすくなります。まずは、親がいつも座る場所の横に、水やお茶を置いておくことから始めてみてください。

寒い季節は、入浴のときの温度差にも注意が必要です。体の衰えのサインとあわせて、こちらも参考にしてください。

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参考にした資料

この記事は、次の資料を確認して書いています(2026年9月確認)。持病がある方や、水分量の指示を受けている方は、医師の指示に従ってください。

  • 健康長寿ネット(長寿科学振興財団)「脱水症」(リンク)
  • 健康長寿ネット(長寿科学振興財団)「脱水」(リンク)
理学療法士 山下康希

この記事を書いた人

山下 康希|理学療法士
回復期リハビリテーション病院を経て、いまは訪問リハビリでご自宅に伺っています(ひと月およそ120件)。現場で見てきたことと公的な資料をもとに、転倒予防・痛み・住まいの工夫・介護保険など、ご家族が今日から試せることを書いています。

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