ロコモとは|高齢の親の「立つ・歩く」の衰えに気づく7つのチェックと予防

「いすから立つときに、机に手をつくようになった」「横断歩道を渡るのが遅くなった」。高齢の親のこうした変化は、年のせいで片づけられがちです。けれど、立つ・歩く力が落ち始めているサインのことがあります。これをロコモ(ロコモティブシンドローム)といいます。

訪問リハビリの現場では、ロコモが進んで転倒や骨折につながり、そこから一気に生活が変わってしまう方に出会います。一方で、早めに気づいて運動を始めれば、進むのを遅らせやすい状態でもあります。

この記事で分かること

  • ロコモとは何か、フレイル・サルコペニアとの違い
  • 家族が一緒に確かめられる7つのチェック
  • 家でできる運動(ロコトレ)と、相談の目安

よくある場面

訪問先でご家族からよく聞くのは、「最近、外に出たがらない」「スーパーの袋を持つのをつらそうにしている」「階段で手すりを離さなくなった」という声です。

ご本人は「ひざが少し痛いだけ」「疲れやすいだけ」と話すことが多く、ご家族も様子を見ているうちに、歩く距離がどんどん短くなっていった方もいます。

足腰の衰えが気になる方に、私がまずおすすめしているのは、歩くことです。特別な運動より、毎日少しずつでも歩く時間を残しておくことが、立つ・歩く力を保つ土台になります。

ロコモとは、立つ・歩く力が落ちた状態

日本整形外科学会では、ロコモを運動器の障害のために移動機能の低下をきたした状態と説明しています。運動器とは、体を動かすための骨・関節・筋肉・神経のことです。

原因は大きく、運動器の病気(骨粗しょう症、ひざや腰の病気など)、年齢による運動器の衰え(筋力やバランスの低下)、運動器の痛みの3つに分けられています。痛みがあるから動かない、動かないから衰える、という形で重なり合うことも多いです。

骨粗しょう症があると、転んでいなくても背骨が折れることがあります。

フレイル・サルコペニアとの違い

似た言葉に、フレイルとサルコペニアがあります。

  • ロコモ:骨・関節・筋肉・神経の衰えで、立つ・歩く力が落ちた状態
  • サルコペニア:筋肉の量と力が落ちた状態。ロコモの原因のひとつ
  • フレイル:体だけでなく、心や人とのつながりも含めて活力が落ちた状態

3つは重なり合っていて、ロコモが進むと外出が減り、フレイルにもつながります。それぞれの見分け方は、こちらで書いています。

家族が一緒に確かめたい、7つのチェック

日本整形外科学会では、ロコモに気づくための7つのチェック(ロコチェック)を紹介しています。1つでも当てはまれば、ロコモの心配があるとされています。

ロコモの7つのサイン(ロコチェック):片脚立ちで靴下がはけない、家の中でつまずく・すべる、階段で手すりが必要、やや重い家事がつらい、2kgの買い物を持ち帰れない、15分続けて歩けない、青信号のうちに渡りきれない
  1. 片脚立ちで靴下がはけない
  2. 家の中でつまずいたりすべったりする
  3. 階段を上がるのに手すりが必要である
  4. 家のやや重い仕事が困難である(掃除機の使用、布団の上げ下ろしなど)
  5. 2kg程度の買い物をして持ち帰るのが困難である(1リットルの牛乳パック2個程度)
  6. 15分くらい続けて歩くことができない
  7. 横断歩道を青信号で渡りきれない

親に直接聞くと「大丈夫」と答えることも多いので、一緒に買い物に行く、散歩をするなど、普段の様子を見ながら確かめるのがおすすめです。

現場で、家族にも見てほしいところ

ここからは、訪問リハビリの現場で見ているポイントです。チェックと合わせて見てください。

  • いすやトイレから立つとき、手をついたり、勢いをつけたりする
  • 歩幅がせまくなった、すり足になった
  • 外出や散歩の回数が減った
  • ひざや腰の痛みを理由に、動くのを避けている

歩幅や、歩く量の見方はこちらで書いています。

ロコモの程度を調べる「ロコモ度テスト」

日本整形外科学会では、ロコモがどのくらい進んでいるかを調べる方法として、ロコモ度テストを紹介しています。

  • 立ち上がりテスト:高さの違う台から、腕を組んで片脚または両脚で立ち上がれるかを見る(脚の力)
  • 2ステップテスト:できるだけ大股で2歩歩いた距離を、身長で割る(歩幅)
  • ロコモ25:体の痛みや、暮らしの中での困りごとを25の質問で答える

結果はロコモ度1〜3の3段階で判定されます。ロコモ度1は移動機能の低下が始まっている状態、ロコモ度2は進行している状態、ロコモ度3は社会参加に支障が出ている状態とされ、ロコモ度2以上では整形外科専門医の受診がすすめられています。

たとえば、両脚でも30cmの台から立ち上がれない場合は、ロコモ度3にあたります。30cmは、一般的ないすの座面より少し低いくらいの高さです。

ただし、高齢の親が家でテストをするときは注意が必要です。反動をつけると後ろに転ぶおそれがあり、ひざが痛むときは中止するよう書かれています。2ステップテストも、介助者のもとで、滑りにくい床で行うよう注意書きがあります。無理はせず、家族がすぐ支えられる位置で行ってください。

家でできる運動「ロコトレ」

日本整形外科学会では、ロコモを防ぐ運動としてロコトレを紹介しています。基本は、片脚立ちとスクワットの2つです。

1. 片脚立ち(バランス)

  • 床につかない程度に片脚を上げて立つ
  • 左右1分ずつで1セット、1日3セット
  • 支えが必要な人は、机に手や指をついて行う

2. スクワット(脚の力)

  • 足を肩幅に広げて立ち、お尻を後ろに引くように、2〜3秒かけてゆっくりひざを曲げて戻る
  • 5〜6回で1セット、1日3セット
  • 息を止めない。ひざの曲がりは90度を大きく超えない
  • 支えが必要な人は、机に手をついて行う

ほかにも、かかとの上げ下ろし(ヒールレイズ)や、足を前に踏み出す運動(フロントランジ)が紹介されています。

現場でのおすすめは「いすから立つ」

スクワットが難しい方には、訪問リハビリではいすからの立ち座りをおすすめすることが多いです。机の前にいすを置き、机に手を添えて、ゆっくり立って、ゆっくり座ります。テレビのCMの間に数回、など、暮らしの中に組み込むと続きやすくなります。

立ち上がりの途中でふらつく場合は、原因を確かめてから進めてください。

無理に運動しないほうがいいとき

次のような場合は、運動を始める前に主治医に相談してください。

  • ひざや腰に強い痛みがある、運動すると痛みが強くなる
  • 主治医から、運動を控えるよう言われている
  • めまいや息切れ、胸の痛みがある
  • 最近、転んだ・骨折した

こんなときは、早めに相談を

次のような様子があれば、様子を見ずに、かかりつけ医や整形外科、担当のケアマネジャーに相談してください。

  • チェックに当てはまる項目が多い、または増えてきた
  • いすや便座から、手を使わないと立ち上がれない
  • 痛みで歩く距離が短くなってきた
  • 転ぶことが増えた

寝込んだり入院したりすると、ロコモは一気に進むことがあります。

家で運動を続けるのが難しい場合は、リハビリの専門職に相談する方法もあります。

施設に通ってリハビリを受けるデイケアについては、デイケアとデイサービスの違い|高齢の親に合うのはどっち?選び方の目安で書いています。

体の衰えだけでなく、家や動き方も含めた転ぶ原因の見直し方は、こちらで書いています。

ロコモの原因になりやすい、ひざや腰、骨の病気については、こちらで書いています。

ロコモ予防に役立つ、いすに座ってできる体操は、こちらで書いています。

よくある質問

ロコモについて、よく調べられている質問をまとめました。

ロコモは何歳から気をつけたほうがいいですか。

何歳からという決まりはありません。高齢の親であれば、7つのチェックに当てはまる項目がないか、一度一緒に確かめてみてください。家族自身が一緒に確かめるのもおすすめです。

ロコモは治りますか。

運動や、原因になっている病気の治療で、よくなったり進むのを遅らせたりできることがあります。ロコモ度2以上の場合は、整形外科専門医の受診がすすめられています。

ひざが痛くても、ロコトレをしていいですか。

痛みの原因によって、してよい運動は変わります。机につかまってゆっくり行い、痛みが強くなる場合は中止して、主治医に相談してください。

フレイルやサルコペニアとの違いは何ですか。

ロコモは骨・関節・筋肉・神経の衰えで立つ・歩く力が落ちた状態、サルコペニアは筋肉の量と力が落ちた状態、フレイルは心や人とのつながりも含めて活力が落ちた状態です。重なり合うことが多いです。

親が運動を嫌がります。どうすればいいですか。

「運動しよう」より、「一緒に買い物に行こう」「テレビのCMの間に立ってみよう」など、暮らしの中の動きとして誘うほうが続きやすいです。家族が一緒にやるのもおすすめです。

まとめ

最後に、この記事のポイントです。

  • ロコモは、骨・関節・筋肉・神経の衰えで立つ・歩く力が落ちた状態
  • 7つのチェックのうち、1つでも当てはまればロコモの心配がある
  • 家では、片脚立ちとスクワット(難しければいすからの立ち座り)を、机につかまって行う
  • ロコモ度2以上では、整形外科専門医の受診がすすめられている
  • 強い痛みや運動の制限があるときは、先に主治医に相談

ロコモは、気づいた時点から運動を始めることで、進むのを遅らせやすくなります。まずは、親と一緒に7つのチェックを見てみるところから始めてみてください。

気になる変化がある場合は、かかりつけ医や整形外科、担当のケアマネジャー、地域包括支援センターにご相談ください。


参考にした資料

この記事は、次の資料を確認して書いています(2026年9月確認)。

  • 日本整形外科学会 ロコモONLINE「ロコモティブシンドロームとは」(リンク)
  • 日本整形外科学会 ロコモONLINE「ロコチェック」(リンク)
  • 日本整形外科学会 ロコモONLINE「ロコモ度判定方法」(リンク)
  • 日本整形外科学会 ロコモONLINE「ロコトレ」(リンク)
理学療法士 山下康希

この記事を書いた人

山下 康希|理学療法士
回復期リハビリテーション病院を経て、いまは訪問リハビリでご自宅に伺っています(ひと月およそ120件)。現場で見てきたことと公的な資料をもとに、転倒予防・痛み・住まいの工夫・介護保険など、ご家族が今日から試せることを書いています。

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