コグニサイズとは|認知症予防に、体と頭を同時に使う運動。家でできる4つ

「最近、同じことを何度も聞くようになった」「物忘れが増えて、認知症にならないか心配」。高齢の親のことで、こうした不安を感じる家族は少なくありません。

認知症の予防として注目されているのが、体を動かしながら頭も使う運動です。国立長寿医療研究センターが開発した「コグニサイズ」は、家でも取り入れやすい方法のひとつです。地域で体操教室にも関わっている理学療法士の立場から、やり方と続けるコツをまとめます。

この記事で分かること

  • コグニサイズとはどんな運動か
  • 家でできるコグニサイズ4つ
  • 運動の強さの目安と注意点
  • 続けるためのコツ

よくある場面

訪問先では、ご家族が心配して、計算ドリルやパズルだけを用意しているケースがあります。頭を使うことは大切ですが、座ったままの時間が長くなると、今度は足腰が弱ってしまうことがあります。

また、散歩は毎日しているけれど、ぼんやり同じ道を歩いているだけ、という方もいます。せっかく歩くなら、少し頭も使う工夫を足すと、同じ時間で両方を鍛えられます。

コグニサイズとは

健康長寿ネットによると、コグニサイズは運動(エクササイズ)と認知課題(コグニション)を組み合わせた、認知症予防を目的とした取り組みの総称で、国立長寿医療研究センターが開発した造語です。

ポイントは、体を動かすことと、頭を使うことを同時に行うことです。たとえば、足踏みをしながら数を数える、歩きながらしりとりをする、といった形です。

健康長寿ネットでは、運動が脳の神経の成長を助ける物質を増やすことや、アルツハイマー病で見られる変化の進み方をゆるやかにする可能性があることが紹介されています。

家でできるコグニサイズ4つ

健康長寿ネットで紹介されている例をもとに、家で取り入れやすい形にまとめました。

家でできるコグニサイズ:1 足踏みしながら数を数える(3の倍数で手をたたく)、2 歩きながらしりとり、3 歩きながら引き算、4 いすに座って足踏みと言葉遊び

1. 足踏みしながら数を数える

その場で足踏みをしながら、1から順に数を数え、3の倍数のときだけ手をたたきます。慣れてきたら「4の倍数」「3と5の倍数」など、少しずつ難しくします。

2. 歩きながらしりとり

健康長寿ネットで「コグニウォーク」として紹介されている方法です。散歩のとき、少し大またで歩きながら、家族としりとりをします。会話が弾むので、家族と一緒に続けやすい方法です。

3. 歩きながら引き算

100から3ずつ引いていく、7ずつ引いていく、などの計算をしながら歩きます。間違えても大丈夫です。少し難しいと感じるくらいが、頭を使っている証拠です。

4. いすに座って足踏み+言葉遊び

立って行うのが不安な方は、いすに座ったまま足踏みをしながら、「動物の名前を言う」「果物の名前を言う」などの言葉遊びをします。座ってできる体操は、こちらでも紹介しています。

運動の強さの目安と注意点

健康長寿ネットでは、コグニサイズの運動は、全身を使った中くらいの強さ(軽く息がはずむ程度)で、脈が上がるくらいが目安とされています。

  • 転ばない場所で行う:まわりに物がない、滑りにくい床で
  • ふらつく方はいすや手すりのそばで:立って行うときは、すぐにつかまれる場所を
  • 無理をしない:息苦しい、胸が痛い、めまいがするときはすぐ中止
  • 持病がある方は先に相談:心臓や血圧の病気がある方は、かかりつけ医に確認を
  • 間違えても気にしない:できないことを責めない

運動を続けて足腰を保つことは、フレイルやロコモの予防にもつながります。

続けるためのコツ

  • 時間を決める:朝のテレビ体操のあと、散歩のときなど
  • 家族と一緒に:しりとりや計算は、相手がいると楽しい
  • できたことをほめる:「前より速く言えたね」
  • 少しずつ難しく:簡単すぎると頭を使わなくなる
  • 地域の教室を使う:体操教室やデイサービスで取り入れているところも

一人で続けるのが難しい場合は、地域の体操教室や通いの場を利用するのもおすすめです。どこでどんな教室があるかは、地域包括支援センターで教えてもらえます。

よくある質問

コグニサイズについて、よく調べられている質問をまとめました。

コグニサイズをすれば、認知症にならないのですか。

コグニサイズは認知症の予防を目的とした取り組みですが、必ず認知症にならないというものではありません。運動や人との交流、生活習慣を整えることなどと組み合わせて、続けていくことが大切です。

1日にどれくらいすればいいですか。

体の状態によって違います。まずは1回10分程度から始めて、軽く息がはずむくらいの運動を、無理のない範囲で続けてください。持病がある方は、かかりつけ医に相談してください。

すでに物忘れが多いのですが、やってもいいですか。

体を動かすこと自体は、多くの方にとって大切です。ただ、物忘れが急に増えた、日常生活に支障が出ている、という場合は、先にかかりつけ医や物忘れ外来に相談してください。

本人が「子どもみたいで嫌だ」と言います。

「頭の体操」と言うより、散歩しながらの会話や、昔の歌の歌詞を思い出すなど、本人が楽しめる形にすると続けやすくなります。

歩くのが難しい場合はどうしたらいいですか。

いすに座ったままの足踏みや、手を動かしながらの計算など、座ってできる方法もあります。安全にできる方法を、理学療法士や地域の専門職に相談してみてください。

まとめ

最後に、この記事のポイントです。

  • コグニサイズは、運動と頭を使う課題を組み合わせた認知症予防の取り組み
  • 足踏みしながら数を数える、歩きながらしりとりなど家でもできる
  • 運動は軽く息がはずむくらいが目安
  • 転ばない場所で、無理をせずに行う
  • 家族と一緒に、楽しく続けるのがいちばん

頭の体操も、体の体操も、続けることがいちばん大切です。まずは次の散歩のとき、親と一緒にしりとりをしながら歩いてみてください。


参考にした資料

この記事は、次の資料を確認して書いています(2026年10月確認)。持病がある方や、物忘れが気になる方は、医師に相談してください。

  • 健康長寿ネット(長寿科学振興財団)「コグニサイズ-認知症予防へ向けた運動-」(リンク)
  • 国立長寿医療研究センター「コグニサイズとは?」(リンク)
理学療法士 山下康希

この記事を書いた人

山下 康希|理学療法士
回復期リハビリテーション病院を経て、いまは訪問リハビリでご自宅に伺っています(ひと月およそ120件)。現場で見てきたことと公的な資料をもとに、転倒予防・痛み・住まいの工夫・介護保険など、ご家族が今日から試せることを書いています。

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